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和食の粋と心にふれる。

割彩 にしわき

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

煌びやかなネオンを抜けてたどり着く。暖簾をくぐると清潔な白木のカウンターが出迎えてくれました。大将の西脇勝幸さんは、大阪生まれ。地元の調理師専門学校を卒業した後、大阪の割烹料理店で板前の修行を積み、師とあおぐ人物を追いかけ北海道に上陸。その後もすすきのを中心に和食料理店で腕を磨き、同店を開業しました。「割烹」ではどうしても敷居の高さを感じさせてしまうため、「割烹」に華やかさを意味する「彩」という漢字を組み合わせ「割彩(かっさい)」としました。本格的な和食をリーズナブルに楽しんでいただき、お客さまから拍手喝采を受けられるようなお店にしたいという想いがこめられています。

じゃがいものバター煮は、バターに砂糖と醤油を加えたたねで北海道産のメークインを蒸し煮。じゃがいもの上品な甘さの後、ほのかにバターの香り。上品でどこか懐かしい味わいです。真ダチの醤油焼きは、新鮮な真ダチに小麦粉をまぶし醤油でさっと味付けし、きつね色に仕上げた逸品。かりっとした食感の後にタチの甘みがひろがります。香ばしい味噌の焼けるにおいが食欲をそそるサロマ牡蠣と下仁田ネギの味噌焼きは、自家製味噌と新鮮な牡蠣を贅沢に焼いた逸品です。

旬の食材をいちばん美味しい調理法でお出しする。それこそが西脇さんが掲げる信念。相性の良い素材を組み合わせて創る料理はどれも至極シンプル。余計なものを削ぎ落し素材の良さを味わえるよう追求されています。特に大切にしているのは、仕込みによる味の土台づくり。細やかな下ごしらえがあるからこそ、シンプルな調理でも完成度の高い一皿に仕上がるのです。全国から仕入れた食材が並ぶガラスケースには、鮮魚をはじめ、京にんじんや紅時雨だいこんなど、北海道ではあまりなじみのないものも並んでおり、ただ眺めるのもまたひとつの楽しみ方です。訪れた人に笑顔で帰っていただきたい。食材を前にした職人の眼差しと、お客さまに対する柔和な笑顔のギャップがなんとも心地よい。カウンターでひとり、予算と好みを伝えて一杯 ― 。そんな大人の嗜みができる一軒です。