煙の魔法に魅せられて。

おずsmoked和taste

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

すすきのの一画、老舗ラーメン店の脇を抜け雑居ビルの手狭なエレベーターで4Fに向かうと、食欲をそそる燻香がほんのりと漂います。燻製が自慢の和食料理店“おずsmoked和taste”。オーナーシェフの長井恒輔さんは、調理師専門学校を卒業後、ホテルの厨房、和食・洋食料理店等で腕を磨き、同店を開業しました。店名の「おず」は、ファンタジー作品“オズの魔法使い”に由来します。まさに、魔法の煙が創りだす逸品の数々に、多くの人たちが虜になっているのです。

保存が目的ではなく、美味しく味わうために燻すという燻製料理は、素材の良さを活かすために、調合するスパイスや塩加減、チップ、温度などのすべてにこだわりがあります。アレンジや盛りつけも繊細で美しいものばかりで、一皿ひとさらに対する長井さんの愛情が垣間見えます。強い火力で短時間燻し一晩寝かせたカマンベールなど、チーズによって製法をかえています。伊達地鶏の手羽先や長沼の自然卵など、その日のおすすめの食材が楽しめる本日の燻製3点盛。手羽先は、一口かむと弾き返されるほどの弾力。旨味をふくんだみずみずしい肉汁がたっぷりで、食感はしっとりふっくら。かたい、しょっぱいという燻製の概念を根底からひっくり返されます。

食材は契約有機農家から直送される野菜や、自然に近い環境で育った鶏卵。素材のコンディションを感じながらレシピを組み立てます。「ただ美味しいだけでは物足りない」という長井さん。北海道の食材は質が良いので、余計なことをせずにシンプルに調理した方が美味しいものもある。しかし、あえて新しいことにチャレンジし、一手間も二手間も加えることで、これまでにはなかった感動や驚きを生みだせる。燻すという製法の都合上、どうしてもお客さまをお待たせしてしまうけれども、その分、他では味わえない料理を楽しんでいただけると胸を張って話してくれました。“燻製”は長井さんの探究心と遊び心が選びだした究極の調理法なのです。

おずsmoked和taste

札幌市中央区南5条西3丁目3-1-2
ニューブルーナイルビル7F
TEL.011-513-2000
営業時間/
月~木 18:00~翌1:00(L.O.0:30)
金・土 18:00~翌3:00(L.O.2:30)
定休日/日曜
※日曜が祝前日の場合、営業
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