150年、愛され続けている味。

元祖雷除志ん古

TEXT/KAGEHIRO WATANABE, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

市電の「中島公園通」や「行啓通」から徒歩5分。閑静な住宅街の中に立派な石造りの蔵が見えたら、そこが餅菓子店・元祖雷除志ん古(がんそかみなりよけしんこ)さんです。明治時代に小樽で開店した同名のお餅屋さんが本家にあたります。まず気になるのは店名。「雷で停電するたびに、米をふかすタイミングを線香に火をつけて計っていたから」とか「雷が鳴っても口から離れないほどコシが強いお餅だから」とか、由来については諸説あるようです。

ちなみに、大福専門の「本家」と違って、札幌の「元祖」では、べこ餅やさくら餅、串だんご、すあまなども店頭に並びます。品揃えは時期によって異なっており、例えば、店名を冠した「雷除志ん古」は夏限定。年末にはお正月用のお餅も作っています。

お店の原点である大福を食べてみると、しっかりとお餅を頬張っている満足感があります。餡は少し塩味がきいた素直な味わい。「余計なものは一切入れていない」という、明治期から受け継がれてきた製法、150年もの間、愛され続けている美味しさです。米を粉にする作業なども含め、すべて店内で行われていて、カウンターの奥には臼や杵も見えます。季節に合わせて餅をつく時間を調整するなどの、職人ならではのこだわりも美味しさの秘密の一端。そのように手間をかけているため、たくさんは作れず、たいてい午前中には売り切れてしまうとのことでした。それは逆にいえば、このお店で買えるのはつきたてのお餅だけということでもあります。早起きをしてでも食べる価値がある、そんなお餅なのです。