「北海道」の歴史に寄り添う。

北海道神宮

PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

鳥居をくぐり境内に入ると、背筋がぴんと伸びる。そんな感覚にとらわれる人も多いのではないでしょうか。木立の奥に佇む社殿のまわりには、どこか特別な空気が流れているようです。年の瀬も押し迫った厳しい寒さの中でも、家族連れやカップル、外国人観光客までさまざまな人が訪れています。

開拓が本格化し、「蝦夷地」と呼ばれていた地が「北海道」と名付けられたのが明治2年。同年9月、明治天皇の詔(みことのり)により、北海道の開拓・発展の守護神として「開拓三神」を鎮斎されたのが北海道神宮のはじまりです。社殿が創建された当初は「札幌神社」と呼ばれ、開拓や移住でこの地に集まった人々の心の支えとなりました。

境内には、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラなど約1,400本の桜が育っており、毎年5月上旬には辺り一面が薄紅色に染まります。札幌屈指の桜の名所として親しまれるようになったのも、北海道開拓の父と言われる島義勇を偲び、明治8年に従者の一人が参道に献植したのがはじまり。島義勇は、親しみを込めて「判官さま」とも呼ばれていたそうで、駐車場からほど近い参拝者休憩所ではこれにちなんだ和生菓子「判官さま」を温かいお茶とともに味わうことができます。六花亭製菓が限定販売しており、「ここだけの味」と参拝のあとに立ち寄る人も多いそうです。

昨今のパワースポット人気であらためて脚光を浴びた北海道神宮ですが、境内に漂う静謐さは、そんなブームとは無縁のようです。木々や社殿、参道に雪が降り積もる冬景色も独特の美しさ。この時期、去る一年と来たる一年に思いを馳せて、訪れてみてはいかがでしょうか。