ステーキのように羊を食べる。

ジンギスカン アルコ

TEXT/KAGEHIRO WATANABE, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

狸小路7丁目、札幌市中心部の喧騒から少し離れた商店街の一角にこのジンギスカン屋さんはあります。ラーメン店の一徹さんと店舗がつながっていて、それもそのはず、同じマスターのお店。一徹さんと同じく地元で愛されている名店です。

小ぢんまりとした店内にコの字型のカウンター、そして七輪。夜になれば、ほの暗い店内で炭火の優しい灯りが居心地の良い空間を作り出します。ジンギスカンを頼むと出てくるのは肩ロース、ロース、バラ、モモの盛り合わせです。マスターの言葉を借りるなら「ステーキを食べているようなもの」。鍋の上で直接焼いて味わってください。野菜にのせて蒸し焼きにするのはご法度です。このお店の甘みがないタレで食べると、旨みの違いを感じながらそれぞれの肉をしっかりと味わうことができます。

このお店では「羊の筋煮込み」もおすすめです。このメニューは、かつてコックだったというマスターらしい洋風なもの。ビーフシチューのような味わいで、トマトの風味が感じられる柔らかいスジ肉が、添えてあるパンとよく合います。ジンギスカン屋さんとしては珍しいこのメニューは、肉を無駄にできないという料理人としての信念から生まれたもの。ジンギスカンを食べながらビールを飲み、羊の筋煮込みと一緒に赤ワインを頼む、そんな贅沢な楽しみ方ができるのはこのお店ならでは、このマスターならではです。


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