札幌で唯一のきしめん専門店。

きしめんのきじや

TEXT/KAGEHIRO WATANABE, PHOTO/SHUN TAKEBE

平たく伸ばしていて、うどんよりも柔らかく食べやすい、きしめん。愛知県民のソウルフードですが、札幌にも一軒だけ、専門店があります。それが、すすきのにある「きしめんのきじや」です。きしめん好きの方なら、かつて桑園にあった「きじ屋」を思い出すかもしれません。もちろん名前の一致は偶然ではなく、すすきの「きじや」は娘夫婦が継いだお店です。ちなみに、店名は、きしめんに雉肉を入れていた伝統から。「きしめん」という言葉自体も「雉麺」が語源だと言われています。

名古屋のきしめんは、たまり醤油をつかっていますが、きじやでは関西風に薄味にしています。先代が大阪できしめんを学んだことがその理由のひとつ。もうひとつは、お酒を飲んだ後に食べやすくするため。深夜も営業しているので、〆で訪れたお客さんのために、消化がよくて、食べやすいものにしているのだそうです。きじやならではの、すすきの流きしめんなのです。

きしめんは、すぐ食べたい人なら「きつね」、ちょっと待ってもいい人なら「たまごとじ」がおすすめとのこと。気分にあわせて、お好みのものをどうぞ。もし待っている時間が気になるなら、おでんもあります。きしめんと同じ出汁でつくる上品な味わいです。夏なら冷やしぶっかけ、冬なら味噌煮込みうどんなど、季節ごとのメニューもあるので、通いつめてみるのも良いのではないでしょうか。