石蔵と無水カレーの、深みある味。

Cafe&Bar ROGA

TEXT/REINA ABE , PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

サツエキの裏、古い石蔵。築100年の趣きはそのままに、カフェバーとしてオープンしたのは2010年。待ち合わせに、空腹を満たしに、アイデアを探しに、多くの人が訪れるようになりました。介護福祉の専門家としてパラグアイに滞在していたこともある店主の太田さん。「ROGA」とは、現地のグアラニー語で「家」を意味するそうです。聞けば、もともとここは、ご自身の実家である「東洋カメラハウス」の倉庫。2013年にお店をたたむまで、50年以上にわたって親しまれてきた町の写真屋さんでした。その石蔵の中で眠っていた古いレジや鉄瓶、どうしても置きたくて新調したという薪ストーブが、落ち着いた空間で存在感を放っています。

ROGA名物のカレーライスは、素材がもつ水分だけでつくる無水カレー。たっぷりの玉ねぎを炒め、2日かけて煮込んでいます。添加物を一切使わないさらりとしたルーは、トマトのほのかな酸味のあとに、ぴりっと心地よい辛さ。と同時に、口の中で鶏肉がほろほろとくずれていきます。爽やかながら奥深い味わいに、するするとスプーンが進みます。ランチセットにつくマカロニサラダは、不思議なほどカレーライスと相性びったり。また、煮込んで水分がとび、とろりと粘度が増したルーは、カレードリアに。最初はまかないで出していましたが、パーティーメニューに加えたところお客さんたちから大好評。今では夜の人気メニューのひとつになりました。

太田さんが目指すのは「生きた掲示板をつくる」こと。インターネットに膨大な情報があふれる今、人と人が直接交流できる空間にしたいという思いが、店づくりのきっかけでした。だからこそ、その取り組みはさまざま。写真展や音楽ライブ、トークイベント、オールナイトROGAなどが開催され、アイデアを実現する場としても魅力的です。もちろん、駅近くのカフェバーとして、ごはんものからおつまみ、デザート、ドリンクまで豊富なメニューが揃っているのも嬉しいところ。家のようにくつろげる空間、ひと味もふた味も違うカレーライス。古くて懐かしい石蔵に、新しい感性と刺激が宿っていました。