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同じ出費で、より良い食材、豊かな食生活。

原木しいたけ

TEXT/KAGEHIRO WATANABE, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

札幌の中心街から車で約15分。ミュンヘン大橋のすぐそば、豊平川と国道453号に挟まれるように「花ときのこ ほそがい」さんの農場があります。訪れるとすぐに目につくのは約80坪のハウス。ここで栽培されているのは「原木しいたけ」です。市場に流通している椎茸の大半は、手間がかからない菌床栽培で作られたもの。そのような椎茸と比べると、ほそがいさんの「原木しいたけ」は食感も風味も香りも別次元です。ぜひご賞味あれ、と言いたいところですが、入手はなかなか困難。数が少ないので、卸先である数軒の生協やスーパーで見つけるか、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)などで不定期に行われている直販イベントへ足を運ぶか、あるいは、ほそがいさんと契約している「そば屋 けん豆」さんなどのお店で椎茸が入っているメニューを頼むか……。そんな貴重な椎茸です。

この農場で採れるのは椎茸だけではありません。10、11月にしか収穫できない「原木なめこ」は、普段のみそ汁などで知っているものと同じ品種とは思えないような立派さ。天ぷらにして食べると美味しいそうです。その他、「花ときのこ」と謳っているとおり、春には200~300種の花の苗を販売。さらに畑では、70~80種の野菜を作っているのだとか。なんでわざわざそんなにたくさんの野菜を育てるのか。農場の細貝陽子さんは「お客さんの身になって考えているんです。普通の野菜を並べていたら、お客さんはどこも同じだなと思ってしまう。だから、見て楽しいもの、珍しいものを揃えているんです」と話してくださいました。札幌市の花フェスタガーデンコンテストで4年連続入賞した陽子さん。そんな彼女の美的感覚も、カラフルな野菜の品揃えには、いきているのかもしれません。

※野菜苗は5月20日すぎに140~150種あり。事前見学OK(要電話連絡)。

ちなみに、ほそがいさんは、たくさんのファンがいるにもかかわらず、「札幌の南区産」として野菜を出荷しています。それは、この地域の農作物全体のブランド価値を高めたいと願っているからです。直販イベントのときなどには、「原木なめこ」の作り方をお客さんに教えたりしているそうですが、それも考え方の根本は同じ。農業を広めたい、という一心なのです。2015年中には農場内に野菜の直売所を作るとのことでした。きっと多くの人にとって、美味しくて新鮮で安全な農作物を手に入れ、同時に農業について考えてみるよい機会になることでしょう。