公式ホームページはコチラ:www.nakayama-farm.com

中山農場 なかやまミルク工房 チーズ職人

原田 丈彦 さん

TEXT/REINA ABE, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

北海道別海町。生乳生産量は全国1位、乳牛頭数が人口の約8倍という、日本を代表する酪農王国です。中山農場はこの町で戦後間もなく酪農を始めました。今では330haという広大な敷地を有し、850頭もの乳牛を育てています。その中山農場に併設する「なかやまミルク工房」で、チーズ職人として働く原田さん。もともとは微生物や発酵を専門としていましたが、あるとき一念発起して、チーズ製造の修行のためフランスへ。2年間チーズの発酵や熟成について学んだあと、別海町にやって来ました。

酪農王国・別海町だからできるチーズづくりとは。チーズ職人 原田丈彦さんの“つわもん”インタビューです。

中山農場では朝夕の1日2回、搾乳しています。原乳にかける思いは強く、乳牛のエサとなる牧草の栽培から、飼料設計、繁殖、子牛の育成、搾乳まで、すべてを自社内で行っています。あらゆる面から乳牛の状態を把握してストレスを取り除き、品質と生産性を高めるためです。原田さんも、生乳の質が安定しているのが中山農場の魅力と言います。そんな酪農の現場のすぐそばで、新鮮な生乳を使ってつくるチーズ。こうした環境の良さは、製品の味にもあらわれているようです。

ラクレット、ゴーダなどの熟成系チーズのほか、根室の地酒「北の勝」の酒粕を使ったチーズも。また、チーズの製造過程で副産物としてできるホエイ(乳清)を有効活用しようと、シロップもつくっています。あるときには試作品を一度にいくつも仕上げて、中山農場の社長を驚かせたという原田さん。品質と風味を追求する姿勢は揺るぎません。さらに研究を重ね、別海町の牛乳の特徴を引き出したチーズをつくりたい、お客さまに美味しいと言われるのが一番うれしい、と話してくれました。周りからの信頼も厚く、北海道や日本にとどまらず、いつかは世界的なコンテストにも、と期待を一心に受けるチーズなのです。

原田 丈彦(はらだ たけひこ)
中山農場・なかやまミルク工房 チーズ職人。神奈川県出身。フランスで2年間チーズ製造について学び、北海道別海町の中山農場に入社。チーズをはじめとした乳製品の製造を一手に担っている。