「屋台の国」シンガポールへ。

コピティアム

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

「新加坡蝦麺」と軒を並べる「コピティアム」は、札幌におけるシンガポールレストランの元祖であり、唯一ともいえる存在です。その一種異様な出で立ちは、すっかり狸小路商店街のシンボルとなりました。“非日常感”を信念としているだけあって、店内はとにかく奇抜で独特。真っ赤に照らされた現地のポスターや無造作に陳列された雑貨たち。ガチャガチャと賑やかな店内に、独特なスパイスの香りが漂います。カウンターの奥で下ごしらえする日本人スタッフの会話が異国語に聴こえてくるのは、私だけでしょうか。

料理ももちろん本格的。使用されるスパイスはシンガポールまで買い付けに行くそうで、料理の1つひとつに細かなこだわりが感じられます。一番人気を誇る星州肉骨茶(バクテー)は980円。骨付きの豚肉を八角やナツメ、クコ、シナモンなど13種類の漢方食材が入ったスープで煮込んだ薬膳料理です。甘さの後にスパイスの香りが広がり、味は薄めであっさり。やわらかい豚肉がほろほろととろけて、体中に薬膳がじんわりとしみ渡ります。チキンやマトンを串に刺したサテ(4本)550円は、まさに日本の焼鳥のような料理。現地ではおつまみ感覚で食べられているそうです。タイガービールをはじめとするシンガポールのビールも豊富に揃っています。

シンガポールは中国をベースに、マレーシア、イギリスとさまざまな文化が複雑に絡み合うエキゾチックな国。コピティアムは、その雰囲気をまるごと味わうことができるお店なのです。大泉洋主演映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」のロケ地にも選ばれ、劇中に登場しています。コピティアムで食事とシンガポールビールを楽しんだ後は、お隣、新加坡蝦麺のえび麺でしめる。狸小路商店街でシンガポールグルメのフルコースはいかがでしょう。