計算しつくされた珠玉の一杯。

王将ラーメン

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

高速道路の高架を見上げる新道沿いの一画。決して良いとは言えない立地に暖簾を掲げる老舗ラーメン店です。大将の高橋さんは脱サラしてラーメンを独学で研究し、同店を開業。息子さんと二人でお店を切り盛りしています。掲げる信念は「明日も食べられるラーメン」。創業から26年、納得のできるラーメンになるまで10年はかかったと言います。今でも少しずつ改良を重ね、時代に合わせ味を進化させてきました。自分が食べたいと思うもの以外は出さない、というこだわりも貫いています。

チャーシューメン(各味)800円は、そんな高橋さんの真骨頂とも言うべき一杯。具材はネギとチャーシューのみという潔さで、チャーシューの魅力を存分に味わうことができます。スープは鶏ガラをベースに豚骨、荒削りの鰹節を贅沢に使い、クセがない製菓用のラードを使用。ほのかに薄ピンク色に染まった豚ロースのチャーシューはスープに入れることで最後の熱が通り、スープの味がしみこんで食べごろに。噛むほどにお肉の甘み、旨みがあふれます。あっさりなのに、後をひくコク。なんとも計算しつくされた一杯です。