top

日本茶専門店発、真の“抹茶スイーツ”。

雪萌えパフェ

TEXT/REINA ABE, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

お店の前を通りかかると、ほのかなお茶の香り。玉翠園(ぎょくすいえん)は、昭和8年に日本茶専門の卸問屋として創成川の東岸に創業しました。現在は2名の日本茶インストラクターが在籍し、茶葉や産地の特徴から、淹れ方、効果効能まで、お茶にまつわることは何でも気軽に教えてくれます。日本茶の芳しい湯気が漂う店内には、茶葉や茶道具を探すお客さんにまざって、パフェをほおばる人がいます。玉翠園は、素材にこだわった、ここでしか味わえないオリジナルメニューも大人気なのだそうです。

その雪萌えパフェは、スタンダードが360円。サクサクのコーンに、甘みを抑えた牛乳ソフトクリームと粒あん、そして薄茶一服分の完熟抹茶が練りこまれた抹茶アイスクリームの組み合わせで、繊細で絶妙なおいしさに浸ることができます。デラックス450円には、しっかりとしたお茶の苦みを感じる抹茶ワッフルコーンを使用。 お店で熟成した抹茶と、すべて北海道産の素材で、専務の玉置幸男さんが毎日一つひとつ手焼きで仕上げているそうです。

雪萌え抹茶ラテ400円もおすすめ。注文すると、目の前で抹茶を点て、ソフトクリームにかけて出してくれます。鮮やかな緑と白の対比と、濃厚な抹茶本来の味わいが何とも言えません。さらに小腹が空いているときは、雪もみじ熱々茶漬け360円をどうぞ。じんわりと体を温めてくれます。


乳製品を取り入れるきっかけとなったのは、生産過剰の牛乳が大量に廃棄されるニュースでした。それはあまりにもショッキングな映像で、日本茶専門店の立場から、北海道の農業を支えるために何かできないだろうか、と強く思ったそうです。もともと抹茶と乳製品の相性はとてもよく、栄養面でもバランスがぴったり。オリジナルレシピで素材の価値を伝えようと、試行錯誤の末、雪萌えパフェが誕生しました。完熟宇治抹茶や北海道産素材をふんだんに使って手づくりしているため、実は採算としてはまったく合わないのだそうです。ここにも、日本茶の良さを知ってもらいたいという、玉翠園の”お茶愛”が根づいているようです。


食べ終わって余韻に浸っていると、香ばしいお茶を淹れてくれます。一口いただくと、思わず笑みがこぼれる奥深い味わい。お茶を飲んでほっとするのは、日本人のDNAかもしれません。